学期末読書レポート。
『死者の救済史―供養と憑依の宗教学―』池上良正:角川書店が課題図書。
月曜2限 宗教学a
課題レポート
『死者の救済史―供養と憑依の宗教学―』池上良正:角川書店
を読んで
『死者の救済史―供養と憑依の宗教学―』
第1章について内容をまとめ、感想を述べてみる。
日本の民衆宗教史は亡くなった家族とその親族や知人たちと直接的な交流・交渉がひとつの特徴である。そしてこの交流の機会が制度的儀礼や習慣的儀礼実践として確保されてきた。死者のなかでも「苦しむ死者」や「浮かばれない死者」は彼らが及ぼすと見なされた否定的な影響力=「祟り」、「障り」などは恐れられ、これらを緩和するための生者の対処法=「祀り」、「祓い」などが開発されてきた。タタるという情念は日本の民衆文化に根付いており、今もなおそれは継続している。日本人の代表的な学説によれば「あの世」が「この世」の周辺であり、生者と死者との頻繁な直接交流が行われてきており、恨みや未練などを残した死者を何らかの方法で「あの世」に送る義務があると考えられていた。他界観としては、個人は時と場合に応じて親しい肉親が死ねば「もう二度と会えない」と涙を流し、他方で盆や彼岸などでは死者と交流し、自分が死ねば先祖や仏になることを「...