1 控訴棄却判決の効力
(1)控訴棄却の裁判とは、訴訟条件の欠缺を理由に手続きを打ち切る形式裁判(338条・329条)。控訴棄却の裁判の効力を論ずるにあたっては、確定力の意義を明らかにする必要がある。
(2)裁判が通常の不服申し立てによっては争いえなくなることを裁判の確定という。裁判の確定によって生ずる裁判の本来的な効力を確定力という。確定力は形式的確定力と内容的確定力とに区別される。
形式的確定力とは、裁判の確定によってもはや手続的に争えないという効力をいう。これにより訴訟状態は消滅する。
裁判が形式的確定力をもつに至ったときには裁判の意思表示内容が確定し、もはや動かしがたいものとなる。これを内容的確定力という。
裁判に内容的確定力が認められる趣旨は、被告人の法的地位の安定性を図る点にあるところ、形式裁判も終局裁判であって、もし裁判の内容を無視し、再訴が許されるとすると、被告人の法的地位が不安定になる。
また、一時不再理効の本来的効果は裁判の形式的確定により発生するのであるから、一事不再理効もなお裁判の後訴に対する効力である点で拘束力と共通し、両者をあわせて実質的確定力と呼ぶことができる。
(3)以上を前提に、各小問を検討する。
1 控訴棄却判決の効力
(1)控訴棄却の裁判とは、訴訟条件の欠缺を理由に手続きを打ち切る形式裁判(338条・329条)。控訴棄却の裁判の効力を論ずるにあたっては、確定力の意義を明らかにする必要がある。
(2)裁判が通常の不服申し立てによっては争いえなくなることを裁判の確定という。裁判の確定によって生ずる裁判の本来的な効力を確定力という。確定力は形式的確定力と内容的確定力とに区別される。
形式的確定力とは、裁判の確定によってもはや手続的に争えないという効力をいう。これにより訴訟状態は消滅する。
裁判が形式的確定力をもつに至ったときには裁判の意思表示内容が確定し、もはや動かしがたいものとなる。これを内容的確定力という。
裁判に内容的確定力が認められる趣旨は、被告人の法的地位の安定性を図る点にあるところ、形式裁判も終局裁判であって、もし裁判の内容を無視し、再訴が許されるとすると、被告人の法的地位が不安定になる。
また、一時不再理効の本来的効果は裁判の形式的確定により発生するのであるから、一事不再理効もなお裁判の後訴に対する効力である点で拘束力と共通し、両者をあわせて実質的確定力と呼...