精神医学

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    精神医学
    「うつ病の特徴と治療について述べなさい」

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    精神医学
    「うつ病の特徴と治療について述べなさい」
     気分障害という大きなくくりにおいては、うつ病と躁うつ病が主なものである。うつ病は気分障害のうち約80%を占めており、代表的な疾患である。
     うつ病と躁うつ病の違いについて触れると、前者はうつ状態が周期的に訪れ、一定期間継続するものである。後者は、双極性感情障害とも言われ、うつ状態と躁状態を繰り返すというものである。以下に、前者のうつ病について述べる。
     うつ病の中核となる症状は、抑うつ気分である。感情面としては、気分が沈み、もの悲しいといったものである。不安感・焦燥感が強くなる場合もある。意欲は低下し、持続力が低下し、疲れやすくなる。思考面としては、質的・量的に低下する。会話のスピードが遅くなり、会話量は減少する。思考の内容は自責的・悲観的になる傾向がある。身体症状としては、睡眠障害、食欲不振、便秘、頭痛、性欲低下などが起こる。うつ病診察のガイドラインとしては、WHOによるICD-10などがあり、上記の要素が挙げられている。
     抑うつ的症状により、患者は自殺念慮をもつ場合がある。それが高じて、自殺企図を引き起こすに至ることもあり、うつ病においてとくに注意を払わなければならない要素である。
     日本においては、年間3万人以上の自殺者がおり、そのなかにはうつ病患者が相当含まれていると考えられる。うつ病患者の対応をするうえで、自殺の予防は重要である。自殺企図の危険性がある場合には、早急な対応が必要とされる。自殺念慮がある者に対して、今後は自殺をしないことを約束させることはまずは望ましい。
     続いて、うつ病の治療方法についてである。治療のためには、薬物療法が必須である。抗うつ薬を使用することで、抑うつ症状を軽減し、病相期間(抑うつ状態の期間)が短縮されるという効果がある。ただし、抗うつ薬の効果には即効性があまりなく、数週間の服用期間を要する。また、服薬によりうつ状態が改善した後も、少なくとも数週間は継続して服用するべきである。
     患者としては、抗うつ薬には副作用があることもあり、症状が改善すれば服薬を中止したいと考えがちである。服薬を止めれば、頭がクリアーになり、すがすがしい気分になったりする。しかし、それは一時的なものである場合が多い。独自の判断で、服薬を中止することは危険で、うつ病が再燃する危険性がある。
     抗うつ薬の種類としては、歴史が古い順に4世代のものがある。第3世代の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と、第4代のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、それ以前の世代のものと比較して、眠気やふらつきなどの副作用が少ないため、使用される機会が多い。その他に、一般的に睡眠薬や精神安定剤とよばれるものが併用して使用されることがよくある。
     その他の治療方法としては、精神療法がある。その代表的なものに、認知療法がある。うつ病の慢性化には、患者の認知機能のゆがみが深く関係している場合がある。たとえば、うつ病患者は、ものごとがうまくいかないときに、自分はだめな人間だといったマイナス思考をしやすい。これに対して、その他の原因などを患者に思考させることで、マイナスに考えてしまう思考パターンに修正を図っていくという方法である。認知のあり方を変えていこうとする治療方法であるため、認知療法とよばれる。具体的な行動を通じた体験を含ませると、治療行動療法とよばれるものとなる。
     精神療法は、時間を要し、粘り強く治療しなければならないことを認識せねばならない。その際の原則としては、うつ病は治る病気であることを理解すること、長い休養を取り治療環境を整えること、重大な決断は回復後に先送りすること、などがある。患者と家族は、以上のようなうつ病の特徴や薬に関する正しい知識を共有し、治療しやすい環境を作ることが第一歩である。
     予後としては、一定の期間を経ると、抑うつ気分(うつ病エピソード)がなくなる場合が多い。このように回復することを寛解すると言う。未治療の場合、病相期間が6か月から13か月間続くのに対し、十分な治療を行うと3か月程度に短縮される。
     しかし、寛解後にうつ病が再発するケースが約50%ある。躁状態となり、冒頭で述べた躁うつ病(双極性感情障害)に移行する場合もある。うつ病は周期的経過をとりやすい疾患であるため、精神科の専門医の指示に従い、治療を継続することが肝要である。

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