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「法の下の平等について」
日本国憲法は「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」(十四条一項)と規定している。「すべて国民は、法の下に平等である」の「法の下に」を解して、法の適用において平等であることを保障するにとどまると解する立場があるが、法そのものの内容においても平等であることを保障するものであって、立法者をも拘束する意味に解するべきである。
人間平等の理念は、個人の尊厳の原理の当然のあらわれであり、近代的な諸要因、とくに人間生来の平等を主張する近代的自然思想、神の前におけるすべての人間の平等を説く近代的宗教思想、平等価値の実現を目標とする近代民主主義などを背後にうけて、法の下の平等は近代憲法にうけいれられている。それは、近代憲法の不可欠の部分といってよい。もちろん旧来の慣行や偏見は平等権の障害となることが多いが、近代は、平等権の確保のために歩みをすすめてきた。明治憲法も平等権を無視してはおらず、公務に就任する資格の平等を明示していたが、そこでは平等原則は必ずしも十分に実現されておらず...