物権と債権の違いについて。
民法は社会における個人の相互間の関係についてのルールであり、社会における個人の相互間の関係は大きく、財産上の関係と身分上の関係とに分けることができる。そのうちの財産上の関係は、財産的取引の関係や加害者の被害者に対する損害賠償の関係などを意味し、打算に基づく合理性が支配する関係である。こうした関係に適用されるルールは、民法のうちの「財産法」と呼ばれる。また財産上の関係、すなわち財産法において現れる権利は「財産権」と呼ばれる。財産上の関係は身分上の関係と比較して多様であるあることから、財産権の種類も多様なものとなっている。そうした財産権を、その関連する内容で分類したときに、その中心の位置を占めるのが「物権」と「債権」である。
物権とは土地の所有権などの物の支配を内容とする権利のことをいい、言い換えれば、人が物に対して持つことができる権利のことを指す。物権はその支配の根拠を一切問わずに、事実上支配していることによる占有という事実状態のみを根拠として認められる占有権と、事実状態とは無関係に物の支配の権原を根拠として認められる本権とに分けることができる。次に、本権...