佛大通信「印度哲学概論」第二設題のB評価レポートです。
設題は「転変説、積集説、縁起説について。」です。
採点者の所見は「では仏教では現象社会をどのようなものと見たのでしょうか。ここでは後の仏教におけるよりもゴータマ・ブッダの純粋経験主義からの縁起を理解すべきです。」でした。
学習を進める上で参考にしてください。
第2設題 転変説、積集説、縁起説について。
印度哲学において、現象界、つまり存在をどのように見ているか。転変説、積集説、縁起説それぞれに、それを考察する。
転変説について
因中有果論は、因と果に関係する説であって、インド思想中では、二つの異なった形式で認められる。すなわち、サーンキャ派によって主張された転変説と、不二一元論を主張したヴェーダーンタ派に認められる仮現説である。後者は、原因の結果への変化はただ単に現れただけのものであるとする考え方である。つまり、ブラフマンによって生じられた現象界のものは、ブラフマンが事実的に変化したものでは無く、仮に現れているものにすぎず、神自身は常に同一を保持しているという説である。
一方、転変説によれば、ある結果が生ずる時、原因の結果への事実上の変化があると考えられている。このサーンキャの所説では、結果が、それが生じる以前に、既に資料因の中に何らかの形で予定されたものが存在していることになる。その根拠は、以下のようなものである。
1)もし果が事実、資料因の中において存在しないならば、作者のいかなる努力もそれを存在へともたらすことは出来ない。従って果があ...