はじめに
新聞の紙面をにぎわせた大きな事件の1つとして、カネボウの粉飾決算事件があった。明治20年創業の老舗企業の粉飾ということもあって、大いに話題となった。さらに粉飾に加担したとして、監査法人の公認会計士が逮捕される事態にまで発展し、日本の監査制度の問題点が浮かび上がってくることにもなった。
それ以外にも、カネボウ株の上場廃止に伴って、金融庁と東京証券取引所の対立が顕在化するなど、粉飾以外の問題とも複雑に絡んだ事件であった。
そこで、以下ではこの事件によって何が問題となり、その後どのような対策がとられるようになっていったのかを見ていくこととする。
1.事件の概要 (2005/09/13, 日本経済新聞)
カネボウ元社長、帆足隆(69)、元副社長、宮原卓(63)の両被告=証券取引法違反罪で起訴=らが主導し、同社の2002年、3年3月期の連結決算を資産超過・黒字であるかのように粉飾した事件。
国内化粧品市場の伸び悩みなどで経営不振に陥った同社は産業再生機構の支援を受けることが決定。2004年3月に就任した新経営陣は「経営浄化調査委員会」を設立し、同10月、旧経営陣による不正経理に関する報告書をまとめた。これを受け東京地検特捜部と証券取引等監視委員会が合同で刑事責任の解明を進めた。
同社は今年4月、決算の粉飾が1990年代から続いていたことを認め、2000年3月期から5年分の決算を訂正。一方、東京証券取引所は6月13日、カネボウ株の上場を廃止した。
3.何が問題となったのか?
・事業会社としては過去最高の粉飾額。2000年3月期―2004年3月期の5期分で、粉飾額が約2150億円にも上った。
・企業の決算書をチェックする立場にある公認会計士が、会社ぐるみの経理操作に手を貸していたこと。
カネボウ粉飾決算事件について
はじめに
新聞の紙面をにぎわせた大きな事件の1つとして、カネボウの粉飾決算事件があった。明治20年創業の老舗企業の粉飾ということもあって、大いに話題となった。さらに粉飾に加担したとして、監査法人の公認会計士が逮捕される事態にまで発展し、日本の監査制度の問題点が浮かび上がってくることにもなった。
それ以外にも、カネボウ株の上場廃止に伴って、金融庁と東京証券取引所の対立が顕在化するなど、粉飾以外の問題とも複雑に絡んだ事件であった。
そこで、以下ではこの事件によって何が問題となり、その後どのような対策がとられるようになっていったのかを見ていくこととする。
1.事件の概要 (2005/09/13, 日本経済新聞)
カネボウ元社長、帆足隆(69)、元副社長、宮原卓(63)の両被告=証券取引法違反罪で起訴=らが主導し、同社の2002年、3年3月期の連結決算を資産超過・黒字であるかのように粉飾した事件。
国内化粧品市場の伸び悩みなどで経営不振に陥った同社は産業再生機構の支援を受けることが決定。2004年3月に就任した新経営陣は「経営浄化調査委員会」を設立し、同1...