はじめに
ある生物が「擬態している」というのはその生物が意識的に形態を“変化させて”いったのではなく、生存競争の圧力下、形態が似た生物が突然変異などによって“偶然”生じ、生き残っていった結果である。生物学をきちんと学んだことの無い人間には、「生物が自ら意識的に真似をしている」というふうに非科学的な解釈をされてしまうので進化における形態の変化を語るのはあまり好きではないのだが、擬態は子どもの頃から興味をもっていた現象なので今回は特に昆虫の擬態についていろいろ調べてみることにした。
多くの生物にとって、自分の餌を確保すると同様に、ほかの生物に捕食されないように逃れることが直接生死に関わる問題となる。擬態とは、簡単にいえば「目立つことで身を守る手段」と言えるだろう。すなわち擬態は捕食者に認識させるための信号をもって捕食から回避する戦略であり、ナナフシやコノハチョウのように姿を環境に溶け込ませ、捕食者から見つからないようにする身の守り方である「擬装(カムフラージュ)」とは戦略が大きく異なる。
擬態の例として、有毒な生物に無毒の生物が似る「ベイツ型擬態」、また有毒な生物同士が似ている「ミュラー型擬態」があげられる。
擬態 ~昆虫の擬態~
はじめに
ある生物が「擬態している」というのはその生物が意識的に形態を“変化させて”いったのではなく、生存競争の圧力下、形態が似た生物が突然変異などによって“偶然”生じ、生き残っていった結果である。生物学をきちんと学んだことの無い人間には、「生物が自ら意識的に真似をしている」というふうに非科学的な解釈をされてしまうので進化における形態の変化を語るのはあまり好きではないのだが、擬態は子どもの頃から興味をもっていた現象なので今回は特に昆虫の擬態についていろいろ調べてみることにした。
多くの生物にとって、自分の餌を確保すると同様に、ほかの生物に捕食されないように逃れることが直接生死に関わる問題となる。擬態とは、簡単にいえば「目立つことで身を守る手段」と言えるだろう。すなわち擬態は捕食者に認識させるための信号をもって捕食から回避する戦略であり、ナナフシやコノハチョウのように姿を環境に溶け込ませ、捕食者から見つからないようにする身の守り方である「擬装(カムフラージュ)」とは戦略が大きく異なる。
擬態の例として、有毒な生物に無毒の生物が似る「ベイツ型擬態」、また有毒な生物同...