認知症の解説を中心に、高齢者社会に対して精神科医療・保健・福祉はどのような課題を背負っているか説明しなさい。
高齢者は、若年層・壮年層と比べて約4倍、精神障害にかかりやすいといわれている。身体の病気にかかった場合でも、様々な精神症状が現れることも珍しくはない。例えば、慢性の身体疾患に伴ってうつ病となったり、あるいは骨折や手術後に痴呆や厳格、妄想状態を起こすことはしばしばあるようである。高齢者精神障害には、高齢者特有のものと、高齢者になって初めて発病するもの、若年のときに発症してそのまま高齢になっても患っている、あるいは再発したものが考えられる。
一般的には、脳器質性精神障害(脳組織そのものに異常がみられるもの)、脳機能性精神障害(脳の動きだけに異常があらわれるもの)、幻覚妄想病、神経症などがある。特に器質性精神障害である認知症は高齢者社会の到来とともに増加の一途をたどり、深刻な社会問題となっている。認知症とは、記憶、見当識、情報収集、計算、学習、総合、コミュニケーションなどの認知機能が慢性に広範に障害されて、適切に認識、計画できない状態となる病気である。意識障害はないが、人格、感情、...