中央大学 通信教育 2012年度 商法(商行為法) 第1課題

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資料紹介

・課題
金融会社であるX会社は、A会社に対する債権の担保として、A会社が所有していたアンゴラ毛糸を譲渡担保に取っていた。このA会社が倒産したため、X会社はこの担保に取った毛糸の換価処分を、倒産したA会社の代表者であったBに依頼した。その後、このA会社代表者BとY会社の代表者Cとの間で、この毛糸を40万円でY会社に売却する契約が締結された。この売買契約締結時、Bはこの毛糸がX会社へ譲渡担保に供せられていたことを知っており、Bは、X会社の委託に基づいて、X会社のためにする意思をもって、この売買契約を締結した。しかし、Bは、X会社の代理人であることをY会社に対して表示しておらず、また、Bの代理行為が本人であるX会社のためになされていたことをY会社が知りまたは知ることができた、と言える事情もなかった。Y会社としては、本件売買契約に基づく代金支払債務と、別途Y会社がA会社に対して有していた売掛債権とを相殺するつもりであった。X会社はY会社に対して代金支払請求が認められるか。

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民法代理判例商法人間総則契約裁判売買

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第1 総論 
 本事例においては、A会社の代表者Bは、X会社の代理人として、Y会社と毛糸の売買契約を締結している。
 しかしながら、Bは、X会社の代理人であることをY会社に対して表示しておらず、また、Bの代理行為が本人であるX会社のためになされていたことをY会社が知りまたは知ることができたという事情もなかった。
 ここで、民法は、法律行為の代理について、代理人が本人のためにすることを示して意思表示をしなければ、本人に対しその効力を生じないものとして顕名主義を採用している(民法99条1項)。そして、代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなされる(民法100条)。
 そのため、民法の原則に従えば、毛糸の売買契約は、A会社の代表者BとY会社と締結されたものと扱われる。
 しかしながら、Xが自己が貸金債権の担保として受け取った物品を処分する行為は商行為(商法503条)であり、当該行為の代理は商事代理に該当する。
 そして、商法では、本人のための商行為の代理については、代理人が本人のためにすることを示さなくても、その行為は本人に対して効力を生ずるものとし...

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