大学での講義をまとめたものです。基礎的なものを勉強なさりたい方やレポートの活用にどうぞ。
人間機能学
第1章 序論
生理学は生体の機能に関する科学であり、人間機能学=人体生理学を意味し、人間機能学では健康・体力の立場から究明を進める学問である。
老齢人口が総人口の20%を超え、長寿国世界一になった日本では、高齢者対策が深刻な問題となっている。これに加え、生活のうえで多種多様な複雑な阻害条件が増している現代において、人間にとって健康の増進と体力の増進は大きな意味を持ってくる。
その理解の現われが、自発的な体力づくりであり、健康産業の発展、繁栄である。
豊かな体力とは、基礎的な身体的能力と考えられ、発達の可能性は、遺伝的条件や栄養、休息、運動などによって異なってくる。遺伝的条件や他の条件を変えることは難しいが、栄養、休息、運動は生活をしていくなかで、改変することが可能で、その上で、人間の発育発達の過程についての正しい認識が重要となってくる。
幼児期における運動経験の不足や経験内容のアンバランスは、児童期における運動遅滞児の出現や、容易に骨折する原因となっている。それは、児童を取り囲む親、教師および大人全体の責任である。
新生児の時期から人間の運動が始まるが、最初の不随意的な運動...