『欧米と日本の情報社会論についてその動向を述べよ。』
情報社会論とは、現代を情報の時代として捉える現代社会論の一つである。以下に、欧米と日本の情報社会論について述べていく。
1.欧米の情報社会論
情報社会論の起源の有力な候補の一つとして、F.マッハルプの『知識産業』(1962年)が挙げられる。この著作の対象は社会全体というよりは経済的側面、産業的側面に重点が置かれているが、知識や情報といったものの位置づけを経済全体の中で数量的に表そうという試みは経済学のみならず様々な領域にも影響を与えた。このマッハルプの研究を継承し発展させたのがM.U.ポラトで、『情報経済入門』を著わしている。マッハルプは市場で値段のつけられる情報のみ着目していたが、ポラトは組織内で利用されている情報にも焦点をあてた。
社会学の領域でマッハルプの影響を受けたのがダニエル・ベルで、彼が1973年に著した『脱工業社会の到来』は情報社会論の基本的文献として取り上げられることが多い。ただし、ベル自身が情報社会という概念を使うようになったのは、1980年の「情報社会の社会的枠組み」からである。ベルは工業社会から脱工業社会へ...