【日大通信】0314 国語学講義 分冊2

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    資料紹介

    課題「奈良時代平安時代のいずれかと、院政鎌倉時代以降の文献からそれぞれ一つずつ選び、まずひとつづきの二〇〇字程度の本文を引用し、その中に見出される国語史的特色(その時代らしさ)を説明しなさい。なお引用した本文は何を参照したか明記すること。」
    合格リポートです。文献はそれぞれ竹取物語・平家物語。参考にどうぞ。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

     まず、平安時代の作品からは、『竹取物語』を引用する。引用箇所は高木市之助『日本文学の歴史』(武蔵野書院)による。
     今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつよろづのことに使ひけり。名をば、讃岐造麿(さぬきのみやつこまろ)となむいひける。その竹の中に本光る竹ひとすぢありけり。怪しがりて寄りて見るに筒の中光たり。それを見れば三寸ばかりなる人いと美しうて居たり。翁言ふやう「われ朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ。子になり給ふべき人なんめり」とて手に入れて家へ持て来ぬ。
     まず指摘できることは、本文が平仮名文であることだ。これは平安時代になり平仮名が成立したことで誕生した文章である。なお、平仮名文は特に女性に好まれたが、『竹取物語』は男性の作と見られる。その根拠は、例えば文中に見られる助動詞「たり」に求められる。「たり」は、格助詞「と」にラ変動詞「あり」が承接・融合して出来た単語で、漢文訓読によって平安時代に誕生したとされる。また、「たり」が和文において用いられることは希だったのであるが、こうした漢文訓読の語法が用いられている点が、女性の手による物との大きな差...

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