「わが国の現代における健康観を過去の健康観の変遷を踏まえて述べよ。」
1946年世界保健機関(WHO)の憲章において、「健康とは、肉体的、精神的、社会的に健全である状態であり、単に疾病がなく病弱ではないというだけではない」と定義している。つまり、健康という言葉には、体に悪いところがなく、心身が健やかなことという意味があり、健やかとは病気をせず、体の丈夫なさまという意味である。これら言葉上の意味で単純に表現してしまうなら、健康とは病気ではない状態であり、病気とは健康ではない状態と表現できる。つまり、健康と病気には、対照的な意味があるといえる。健康に関する意識や価値観は、時代の流れとともに変化するものである。それと関係性がある病気に対する人々の見方や考え方も、同じく今日まで変遷を重ねてきたと考えられる。
以下には、過去における日本人の健康観の変遷を考察する。
16 世紀から20 世紀前半は、自然科学の進展に伴い医学が飛躍的に発展し、病気の回復に大きく貢献した時代である。例えば、物理学の応用によって発明された顕微鏡は、それまで人類の天敵であったペスト菌、コレラ菌などの伝染病の病原菌の発...