2011年度印度哲学のA評価レポートです。
「第2設題:転変説、積集説、縁起説について」
第2設題:転変説、積集説、縁起説について
参照:金倉圓照著『インド哲学史』、第12章-第17章
田中典彦著『印度哲学概論―学習の手引き―』、四、破邪-七、十二門論
現象つまり存在をどのように捉えるのか、という問題はインド哲学における中心的なテーマの一つとされている。ここでは転変説、積集説、縁起説という3つの説による存在の見方を取り上げる。
1.転変説
転変説とは「現象世界のいっさいは一つの実在が展開・変化することによって生成する」、つまり根本原理の梵自体が現象世界へ展開する、という見方である。この説はおもにサーンキャ派(数論派)によって主張された。
そもそも転変説は因中有果論とよばれる因と果の関係に関する説であり、インド思想の中では2つの異なった形式で認められている。これがすなわち転変説と仮現説である。転変説は先に示したとおり、ある結果が生ずる時、原因の結果への事実上の変化がある。例えば粘土から瓶が生じ、ミルクから乳飲料などの乳製品が生じるようにである。
一方、仮現説は不二一元論を主張したヴェーダーンタ派に認められる説である。これは原因の結果への変化はただ単に現れただけのものである...