最高裁判所の違憲法令審査権とは、基本的人権が国家権力によって侵害される場合に「憲法の番人」として救済するものであり、基本的人権尊重の原理に基づくものである。
しかし、これまでに最高裁が違憲判断を行ったケースは極めて少なく消極性が指摘されているのも事実だ。
そんな社会のなか、つい最近平成20年6月4日に最高裁判所が国籍法の婚外子差別に違憲との判決を下した。
この事はメディアでも大きく取り上げられ、最高裁の違憲判決がどれだけ珍しく特別な出来事かを表しているように思えた。
その内容も踏まえ違憲法令審査権とは、どの様な制度なのかを考えていきたい。
まず、最高裁判所は終審裁判所として「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」と憲法で定められており、違憲法令審査権を認めている。
その違憲法令審査権には2種類ある。具体的な訴訟事件とは関係なく抽象的に違憲審査を行う、抽象的違憲審査制と具体的な訴訟事件を裁判する際に、その前提として違憲審査を行う付随的・前提的審査制とあり、日本は付随的・前提的審査制をとっている。というのも、裁判所が具体的事件を離れ...