第Ⅰセメスター金1-1

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    資料の原本内容

    カンブリア紀の大爆発(Cambrian explosion)
     カンブリア紀の大爆発とは、古生代カンブリア紀(約5億4200万年前から5億3000万年前の間)に突如として今日見られる動物の門が出そろった現象である。先カンブリア時代については、化石から存在が確認されている生物種がわずか53種類であるのに対して、カンブリア紀においては約8100もの生物種が存在したとされている。これには無脊椎動物の中で最も高等とされる棘皮動物、また脊椎動物との類縁関係を示す種類も含まれている。一方で、現生生物との類縁関係が不明なものの化石も多く発見されている。

     カンブリア紀の大爆発の要因は、様々な観点から考えられている。その一つとして次のようなものがある。先カンブリア時代に多くの藻類が繁栄し、光合成が行われたことにより約6~5億年前に大気中の酸素濃度は現在の大気中の濃度の約1%となった。これによってオゾン層が地球を取り巻くようになり、生物に有害だとされる紫外線を吸収するようになったため、生物の進化に陸上進出という選択肢が与えられ爆発的多様化が起こったというものである。また、次のようなものもある。カンブリア紀は三葉虫が繁栄していたことで知られているが、その化石の分析結果から、カンブリア紀には発達した触手や口器・硬い組織をもつ水生動物群がいたと考えられる。こういった生物の形態的な特徴からわかることは、カンブリア紀の水生動物の間には先カンブリア時代には見られなかった被食者‐捕食者相互関係があったということである。このような食う食われるの関係が存在する状況下で、捕食に対抗するために様々な形で生物が独自に進化したため、バージェス動物群に代表される多くの生物種が出現したとされている。そのほかにも、スノーボールアースの終結やゴンドワナ大陸の分裂など、地球規模の気候変動・地理変動が間接的原因ではないかという見解もある。

    現在では分子生物学的観点から、カンブリア紀における生物の体制の爆発的多様化は短期間に起こったものではないという考え方が主流になっている。というのも、遺伝子の爆発的な多様化はカンブリア紀の大爆発が起こるおよそ3億年前に起こっていということが分子生物学の発展にともなって分かってきた。つまりカンブリア紀の大爆発は形態的に生物種が多様化されたわけであり、多くの生物の体制は先カンブリア時代に徐々に出揃ってきたものであるとされている。
    〈参考文献〉

    スクエア図説生物―吉里勝利監修 第一学習社,ISNB4-8040-4472-8

    生物Ⅱ合格33講―田部眞哉著 学研,ISBN4-05-302116-2

    生命の誕生―秋山雅彦著 共立出版社,ISNB4-320-04583-1

    カンブリア紀の怪物たち進化はなぜ大爆発したか―サイモン・コンウェイ・モリス著 講談社,ISNB4-0614-9343-4

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