基礎実習レポート8

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    基礎実習レポート  1-8 化学反応速度
     実験実施2010/05/14

     提出 2010/05/19
    Ⅰ.目的と概要

    反応速度を研究すると、反応機構を理解することができる。ここでは、一次反応の化学反応速度論の基礎を習得する。実験では酢酸メチルの塩酸触媒による加水分解速度を測定し、一時反応の反応速度定数を求める。
    Ⅱ.原理

     テキストに準ずる。
    Ⅲ.実験手順と結果

     1)100mLの三角フラスコに50mLの蒸留水とフェノールフタレイン液3滴を入れたものを10個用意した。47℃の恒温槽に試験管に入れた6.0mLの酢酸メチルと200mLの三角フラスコに入れた50mLの0.5M塩酸を浸した。

     2)水酸化ナトリウム(NaOH,40.00)を量りとり、500mLメスフラスコを用いて、0.1M水酸化ナトリウム水溶液を調製しポリビンにいれて密栓した。この溶液で1)で準備した蒸留水に5mLの0.5M塩酸を加えたものを滴定したところ、23.25mL必要であった。ここからファクターを以下の式によって求めるとf =1.0753であった。
    3)1)で恒温槽に入れた溶液が温度平衡に達したところで、酢酸エチル5.0mLをホールピペットでとり、これを塩酸中に注入し、よく撹拌して反応を開始させた。このとき、ピペットから酢酸エチルの半量が流出した時を、反応開始後0秒(t = 0)とした。

    4)その後ただちに別のホールピペットで反応液から正確に5.0mLを吸い出して、用意した三角フラスコに加え、0.1M水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。これを【表1】に結果として示すような時間に正確に5.0mLずつ混合液を吸い上げ、三角フラスコに加えて素早く滴定を行った。また、反応液を一晩放置したものについて、t = ∞として同様に滴定を行った。
    【表1】反応時間と滴定に要したNaOH水溶液の体積の結果

      ただし、である。

       

    次に、横軸を反応時間(min)縦軸を(mL)として対数グラフにプロットし、近似直線を求めた。結果を【グラフ1】に示す。

      

    【グラフ1】酢酸エチルの加水分解反応
    Ⅳ.考察

    一次反応の速度定数K1およびK2を導出し、グラフの傾きからK1およびK2を求める。
     まず、この反応は水が多量に存在する条件下での擬一次反応である。

    CH3COOC2H5 + H2O → CH3COOH + C2H5OH
     
     ここで、CH3COOC2H5濃度を[A]、H2O濃度を[B]とすると、今回の反応系においては[B]=1000g/18 = 55.6[mol/L]となり、[A]0<<[B]0である。すなわち[B]=一定と考えてよい。
     [A]=[A]0-xとすると

     Vtを時間tにおける反応液5.0mLを中和するのに要するNaOHの体積とすると、[A]0-x はV∞-Vtに比例、[A]0はV∞-V0に比例するので、①はすなわち、
     一方、グラフから得られた近似曲線の式は、

    ②③より、0

     また、二次反応として考えると、
    [A]0<<[B]0の場合は[B]0-[A]0 [B]0 すなわち([B]0-x)/ [B]0 1なので、
    したがって①より、


    NaOHをポリ容器に入れて密栓する理由を考察せよ。
     NaOHを密栓せずに放置すると、空気中の二酸化炭素を吸収して、水酸化ナトリウム溶液が調製および滴定で求めた濃度よりも薄くなってしまう可能性があるため、ポリ容器に保存する。
    フェノールフタレインが中和後に時間が経つと赤色から無色になる理由を考察せよ。
     未反応の酢酸エチルが加水分解されて酢酸が生成するため、または空気中の二酸化炭素が溶解するためであると考えられる。一晩おいて完全に反応が終わったとみなせる溶液に対し滴定を行った後、放置しても色が変わらなかったことから推測すると、先に挙げた理由のうち前者が主な原因であると考えられる。
    Ⅴ.参考
    上釜兼人ら編、最新製剤学第2版、廣川書店、2007、451p

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