「地域福祉の概念規定における機能的アプローチと構造的アプローチについて述べよ。」
1.地域福祉の歴史的展開
1960年代に地域福祉概念化のもととなる二つの概念が出現する。住民主体に公私関係者の連携により住民の福祉増進を図るという考えと、要援護者の地域生活を支援するコミュニティケアという考えである。その後1970年代になると岡村重夫によって地域福祉概念が体系化され、コミュニティオーガニゼーションやコミュニティディベロップメントなどの地域援助方法論と、コミュニティケアの概念の融合が試みられ、シーボーム報告から、地域を基盤とする公私協働の多元的な協働主体からなる地域性が、住民個々の社会生活上の要求に対応してコミュニティケアや予防的福祉などの福祉性を発揮するという理論へと修正される。従来の政府や行政主体の社会福祉理論に対して、地域あるいは住民主体で公私協働福祉ミックスの考え方が明示される。
1980年代に牧里毎治によって地域福祉論が構造的アプローチと機能的アプローチに整理される。地域福祉の持っている、機能と構造に分けて地域福祉政策や事業活動をとらえる方法である。
2.機能的アプローチ
機能的...