参議院議員定数不均衡についての投票格差、最高裁の判例枠組みと見解についての論評。(2011年度第3課題、評価C)
1、最高裁の判断枠組み
(1)まず、参議院議員定数不均衡において問題となるのは、各選挙区における議員定数と人口比率が著しく不均衡になると投票価値に不平等が生じることになる。そこで憲法が保障する平等として憲法第14、44条には一人一票という投票数量の平等(公職選挙法第36条)のみならず、各投票が選挙の結果に対してもつ影響力の平等(投票価値の平等)も含まれるかが問題となる。
これは、憲法が民主制を基本原理として公務員の選定罷免権を国民固有の権利として普通選挙を保証していること(憲法第15条1項3項)自体に、選挙区間における投票価値の平等を要請する趣旨が含まれ、また投票価値の不平等を認めてしまうと、実質的に複数投票制を認めたのと同じ結果になるため、憲法の保障する平等には、投票価値の平等も含まれると解する。
(2)そこで、最高裁の過去の判例によると、違憲となる具体的な数値による基準は示してはいないが、衆議院については1対3、参議院については1対6を一応の基準としているようである。
衆議院について、最高裁の昭和51年判決がリーディングケースとして、後の判決に踏襲されている。これは...