取材・報道に関わる者の証言拒絶権に関する最高裁の判例の紹介、論評。(2011年度第2課題、評価B)
1、本問において論点となるのは、「取材源の秘匿」についてであるが、取材源の秘匿というのは、前提として報道および取材の自由が憲法上保障されるかどうかが問題となる。
マスメディアが行う報道について、情報を収集し、それを編集・加工し、世の中に発信することにより、国民の「知る権利」に奉仕するものとして、重要な意義を有することからすれば、報道の自由は、憲法第21条1項の表現の自由の保障に含まれると解する。
さらに報道は、取材・編集・発表を一連の行為として行うことにより成立することにかんがみれば、取材は報道にとって必要不可欠の要素であるため、取材の自由も報道の自由とともに憲法第21条1項の表現の自由の保障に含まれると解する。
そして、取材源の秘匿については、取材や報道の前後にかかわらず、取材源の開示や取材資料の提出を公権力によって強制されるとすると、委縮効果を生み、今後、取材の協力が得られなくなってしまったり、取材先の信用を失い、取材活動が円滑に行うことができなくなってしまう。報道の自由が、最終的に国民の知る権利に奉仕する以上、取材の制約というものは、国民に不利益をもたらすと考えると、...