佛教大学通信課程「印度哲学概論」第2投題「転変説、積集説、縁起説について」。
A判定をいただいたレポートです。テキストがかなり難解なので、参考にしていただければ幸いです。
転変説、積集説、縁起説について
現象界、すなわち存在をどのように見るかがインド哲学の中心のひとつと言える。以下、その立場に立って転変説、積集説、縁起説についてそれぞれ考察する。なおこの考察にあたって、金倉圓照(1974)『インド哲学史』の第6章および第11章~第17章を特に参照した。
(1)転変説について
転変説とは、現象世界のすべては根本原理の梵自体が展開・変化して生成するとする説で、ヴェーダーンタ学派、サーンキヤ学派がその代表的な位置を占める。ヴェーダーンタ学派はバラモンの哲学学派(六学派)のひとつに数えられ、古典ウパニシャッドの研究をその旨とし、特にウパニシャッド思想の中心観念である梵の研究をその主題とした。成立は400年頃、開祖はヴァーダラーヤナである。ヴェーダーンタ学派では、梵とは世界の生・住・滅の起こる根源であると規定し、梵は宇宙の動力因であるとともに資料因であり、転変によって世界を生ずると主張することで、有神論的数論派が最高神を動力因とのみみる考えを反駁し、原子論のような他の世界起源説も否定した。すなわち、宇宙の根源であるところの梵から空風火水地が順に生まれ、また逆の順...