内田樹(2009)の日本辺境論を読んだ時の書評
書評課題
内田樹(2009)「日本辺境論」を読んで
「日本は辺境であり、日本人固有の思考や行動はその辺境性によって説明できる」というのがこの本で内田氏が説くところである。今まで様々な学者が日本の辺境性について説いてきたが、辺境性というものは繰り返し理解することが必要な命題であり、わたしたち日本人がどのような固有の文化をもち、どのような思考や行動上の「民族誌的奇習」をもち、どのようなバイアス(考え方などが他の影響を受けて偏ること)をかけているのかを年を重ねるごとに確認し認識しながら更新しつづけなければいけない重要なことであるからして、内田氏は様々な関連性のない出来事を用いて「辺境性」について説かれている。まず、「辺境」とは「都から遠く離れた土地」という意味である。わたしたちの住んでいる島国、日本は他の大陸と海を挟んで浮かんでいる。要は孤立した、「都(おそらくアメリカ大陸であろう)からとても遠く離れた土地」=「辺境地」だということだ。その混沌とした世界の中で生きているわけだが、「辺境性」というのはわたしたちに対する「宿命」であるからして「回帰」することはない。ただしある一定の知識ないしは...