「障害」についての考え方は時代とともに変化してきた。障害を構造的に捉え、概念を正しく理解することは大切である。なぜなら、それは共通言語として確立し、障害福祉施策の制度化に役立つなどの利点があるからである。
ここから1980年以後に構築されたICIDH・ICFの障害概念について見ていこうと思う。
①ICIDH(国際障害分類、1980年版)の障害概念
ICIDHは、障害に関する統計、研究、臨床実践、障害福祉政策の立案・評価、市民啓発としての有効な手段の開発を目的として世界保健機関(WHO)によって提案された。1974年にICD(国際疾病分類)の第8版が出されており、ICIDHのモデルはICDの医学的な流れで作られた。
ICIDHは障害を、心身レベル・活動レベル・社会生活レベルと3つに分け、機能障害・能力障害・社会的不利の3つの次元の構造として関係性を示した。例えば、Aさんの足が麻痺するとする。それは歩きづらいという機能障害をもたらすし、素早く行動できないということで能力低下をもたらす。また歩行困難があるということは、社会的に不利な立場に立たされうるという訳だ。
このモデル...