デフレによる日本経済

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    資料紹介

    いま、日本経済の暗雲として大きく覆い被さっている問題はデフレの深刻化である。概して人口が増加し続け、生産技術が未熟な上に関東大震災などの天災や戦災などによる大量破壊もあった近代日本の発展過程においては、需要が供給を上回り、物価が持続的上昇(相対的に貨幣価値は下落)するインフレーションの抑制への関心は強かったが、逆に物価が持続的に下降し続けるデフレーションの体験は少なく、あまり問題視されることもなかった。
    インフレとデフレのいずれにしても、それぞれ功罪の両面を有し、物価の上昇や下降のテンポが緩慢で、その幅が適度なものであれば対応策もとりやすいが、急激な乱高下は、所得分配の不平等、供給(生産)と需要(消費)の不均衡、貨幣に対する信頼を失くし、経済運営計画や国民の生活設計に狂いを生ぜしめるなど、いろいろな面に混乱をもたらすので好ましいことではないだろう。

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    「デフレ」という観点から今の経済状況、そして財政問題を考えてみようと思い、『デフレが蝕む』を読んで感じたことを書いていきたい。今、地球規模で起きていると言われているデフレ現象からの脱却は可能なのかと問うこの著書の内容は大きく分けて、「裏切られる経験則」「企業の興亡」「がけっぷちの資産」「世界に広がる衝撃波」「克服への挑戦」「新たな活力を求めて」「デフレ処方箋を考える」と7つに分けられ、世界的なデフレ問題を取り上げている。デフレに関する先入観を排し、現実に起きていることを現場取材で丹念に拾い上げるとともに、それを支えるデータを幅広く集めている。現代のデフレはグローバル化や技術革新の波が襲う中で起きており、過去の経験則をあてはめることでは理解できないというのが本書の主要なメッセージだ。同時に、そうした新しい現象に機敏に対応する企業などの動きも取りあげ、新しい時代をどう乗り切るか悩んでいる人々に貴重なヒントを提供している。その意味では、『デフレが蝕む』という表題から予想されるものにとどまらない広がりのある内容になっている。デフレをどう克服するかは政策当局をはじめ多くの人々の関心事だ。本書はそ...

    コメント1件

    mimiunko0106 購入
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    2007/06/11 21:07 (17年5ヶ月前)

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