環境問題という言葉が巷に満ちあふれているが、人々が地球環境に対する正確な認識を持っているとは言い難い。大学のある埼玉県でも、ゴミ焼却やダイオキシンの問題が取り上げられている。そうした危険と隣り合わせの現代に生きる私たちは何を学んでいけばいいのか。
本論で注目したいのは水俣病である。水俣病は日本において最も悲惨な公害問題であり、公害の原点とも呼ばれている。戦後、経済基盤の復興を進めていた裏で、廃疾に苦しむ人々がいたのだ。同じ過ちを繰り返さないためにも、水俣病がどのような問題を抱えていたのかを知り、環境問題全体の課題にどう立ち向かえばいいのかを考察することにする。
? 水俣病の概要
1.発生と発見
1956年 5月1日、新日本窒素肥料水俣工場附属病院長の細川一が、脳症状を呈する患者の発生を水俣保健所に報告した。この日が水俣病公式発見の日とされている。しかし公式発見前に水俣病と思しき患者は現れていた。熊本大学の研究により1942年に発生していたことが明らかになっている 。
本論では、これまで水俣病を取り上げて、何を学ぶべきかについて議論してきた。水俣病は、チッソ水俣工場が海に流した工場廃水中のメチル水銀が生態濃縮され、付近で獲れた魚介類を摂取したことで起きた。また、それは住民意識の問題や患者の運動などの多様な側面を持っている。この点から、水俣病は、環境問題を解決するための貴重な教訓に満ちた公害病である。
水俣病から何を学ぶか
Ⅰ はじめに
環境問題という言葉が巷に満ちあふれているが、人々が地球環境に対する正確な認識を持っているとは言い難い。大学のある埼玉県でも、ゴミ焼却やダイオキシンの問題が取り上げられている。そうした危険と隣り合わせの現代に生きる私たちは何を学んでいけばいいのか。
本論で注目したいのは水俣病である。水俣病は日本において最も悲惨な公害問題であり、公害の原点とも呼ばれている。戦後、経済基盤の復興を進めていた裏で、廃疾に苦しむ人々がいたのだ。同じ過ちを繰り返さないためにも、水俣病がどのような問題を抱えていたのかを知り、環境問題全体の課題にどう立ち向かえばいいのかを考察することにする。
Ⅱ 水俣病の概要
1.発生と発見
1956年 5月1日、新日本窒素肥料水俣工場附属病院長の細川一が、脳症状を呈する患者の発生を水俣保健所に報告した。この日が水俣病公式発見の日とされている。しかし公式発見前に水俣病と思しき患者は現れていた。熊本大学の研究により1942年に発生していたことが明らかになっている 。
2.原因物質の究明
調査は熊本大学医学部が中心となって行われた。公式発見と同じ年に、...