労働組合の諸行動に対する法的承認は、どのような過程を経て実現するに至ったのか。また、それを踏まえたとき、わが国における「労働基本権」の保障(憲法28条)の意義はどのように理解されるべきか。
資本主義社会では、労働力を提供することを唯一の生計手段とする労働者と生産手段の所有者である使用者の分離を前提としている。
そして、資本主義経済社会の下では、労働者が使用者と自由に締結する労働契約は常に労働者に不利に働く特殊性を有する。したがって、労働者が正常な生活を営むためには、対等な立場で労働契約を締結することが必要であり、そのためには労働者が団結して労働条件を向上させる手段が必要となる。
それが労働組合の始まりであり、「労働条件その他の生活条件を守り向上させていく運動を展開すること」を目的とする所以である。
しかし、始めから労働組合に法的承認が与えられていたわけではない。それには、禁圧→放認→保護の3段階の歴史を経る。
団結の国家承認は、英国で1871年、フランスで1884年であった。労働者の団結は、フランスの1791年「ル・シャプリエ法」や英国の1799年・1800年「団結禁止法」のように、市民革命期に絶対君主と結託した「初期独占」の廃絶と一緒に、自由な取引や営業の自由を阻害するとして刑罰を伴って禁止したが、それでも労働者は労働条件の劣悪化に対抗して、暴動やストライキ...