学芸員をはじめとする博物館関係者の、目的に対する結果を経営学的に評価する傾向はむしろ強まるべきだと考えるのである。ここで経営学的というのは、「社会環境の変化を予測して、博物館の持つ経営資源を組み合わせ、環境に適応し、利用者の満足を創出し、市民生活の豊かさに資することを目的とする」(文献1より)科学である。
非企業(非営利)組織の経営に関するエッセイ
~田尾雅夫氏の日経新聞記事「非企業組織の経営学」を参考にして
<題材とする非企業組織として、博物館を取り上げる>
[非営利・準公的組織としての博物館]
利潤追求を第一義的な目的としない非営利組織として博物館を取り上げることができるだろうが、法的に博物館がどういう位置づけをされているかをまず確認しようと思う。博物館法第2条で博物館は「歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関」であるとされている。続いて第23条では、公立博物館に関しては、原則的に入館料を徴収してはならないとされている。(もっとも博物館の維持運営のためには必要な対価を徴収してもよいという但し書きがあるが)これらを踏まえれば、博物館は広く一般公衆の必要性に応える使命を抱えており、利潤獲得のために利用者からサービス対価を求めることは理念的に望まれないということが理...