現在の社会保障制度は、日本国憲法第25条の「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」を根幹にした制度である。制度の内容は、国民全体が生活していく過程で遭遇する疾病、障害、死亡、高齢化などのさまざまな問題に対して、貧困の予防や生活の安定を目的とした、所得や医療の保障、社会福祉サービスの提供を行うことである。
以下、わが国の社会保障制度の歴史的経緯と枠組みについて考察する。
明治初期に救貧を目的とした「恤救規制」で始まったわが国の社会保障制度は、戦後の緊急援護と基盤整備のための医療法や生活保護法の制定。高度経済成長期の国民健康保険や国民年金法に伴う国民皆保険・国民皆年金と社会保障制度の発展。経済...