象徴機能の発生について説明せよ(説明には子どもの行動についての具体的研究例も提示すること)。また,教育との関連で大切な点を説明しなさい。
幼児期は,人格の基礎としての自我が芽生える時期である。子どもが自分なりの意図や予測を抱き,その意図や予測に基づき行動するようになると,両親や仲間と衝突が起こる。しかし,そうした衝突や葛藤を経験するうちに,子どもは次第に自分を律することを学び,自分自身についての認識を深める。また,他者との交渉能力を磨き,周囲に適応した行動基準を身につけていく。一方で,イメージを浮かべて物事を考えるという表象機能が現れ,ごっこ遊びの中で自由自在に架空の世界を展開するようになる。そうした認知能力の発達に伴って,数概念や文字の習得も進行するが,日常の具体的な経験のなかでの子どものイメージや気づきが大切にされなくてはならない。生後10ヶ月から12ヶ月頃から子どもは目で見て,耳で聞く現在の世界だけでなく,頭の中にイメージ(表象)を思い描くことができるようになると言われている。具体的な知覚経験をもとに自分なりにイメージを構成し,それを利用して,時と場所を変えて自分なりのやり方で...