ミステリ文学に対する一考察

閲覧数2,029
ダウンロード数6
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    まずミステリという分野の歴史や概観、本格ミステリの定義を述べる、ミステリには探偵小説と推理小説があり、本格ミステリとはトリックや謎解きに主眼が置かれたミステリのことであり、動機や時代背景には注意が払われる必要はあまりない。戦後のミステリブームを時代背景とともに見ていく、1945年に終戦を迎えその後ミステリブームが起こる、戦争で出会った死のリアリティによるものだろうか。横溝の「本陣殺人事件」は1946年、坂口安吾の「不連続殺人事件」は1947年であった。1951年にサンフランシスコ講和条約、それに続いて日米安全保障条約が結ばれ、社会情勢が大きな変化を見せる、それに触発された形か社会派ミステリが台頭する。戦後文学の中でブームになりはしたがミステリは純文学とは見られず、大衆文学として扱われていた。
    戦後ミステリ界の様相を見ていく。まずは横溝正史(1902~1981)である。彼は雑誌『新青年』の「恐ろしき四月馬鹿」でデビューする。その後大ヒットを飛ばすのが「本陣殺人事件」である。これは雑誌『宝石』に連載されたもので、金田一耕助シリーズの第一作目である。探偵小説家がある事件を回想する、という形をとって語られるものであり、ヒントとなった先行作品にはロジャースカーレットの『エンジェル家の殺人』、コナンドイルの『ソア橋事件』があると考えられる。大ヒットした「本陣殺人事件」であるが、江戸川乱歩は「『本陣殺人事件』を読む」(1947)で次のような評価をしている。典型的日本家屋が舞台であるため、純日本式密室殺人であり、この点は評価している、しかし、次の三点は批判する1.トリックが複雑でおおげさであること 2.殺害動機の不可解さ(花嫁が処女ではなかった、など) 3.構成の欠点(悪の不在、犯人の死)。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    ミステリ文学に対する一考察
    目次
    (1)ミステリの歴史
    (2)叙述トリックの今
    ミステリの歴史
    まずミステリという分野の歴史や概観、本格ミステリの定義を述べる、ミステリには探偵小説と推理小説があり、本格ミステリとはトリックや謎解きに主眼が置かれたミステリのことであり、動機や時代背景には注意が払われる必要はあまりない。戦後のミステリブームを時代背景とともに見ていく、1945年に終戦を迎えその後ミステリブームが起こる、戦争で出会った死のリアリティによるものだろうか。横溝の「本陣殺人事件」は1946年、坂口安吾の「不連続殺人事件」は1947年であった。1951年にサンフランシスコ講和条約、それに続いて日米安全保障条約が結ばれ、社会情勢が大きな変化を見せる、それに触発された形か社会派ミステリが台頭する。戦後文学の中でブームになりはしたがミステリは純文学とは見られず、大衆文学として扱われていた。
    戦後ミステリ界の様相を見ていく。まずは横溝正史(1902~1981)である。彼は雑誌『新青年』の「恐ろしき四月馬鹿」でデビューする。その後大ヒットを飛ばすのが「本陣殺人事件」である。これは雑誌『宝石』に...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。