1.代理とは、代理人という他人が独立に意思表示をし、または意思表示を受領することによって、本人が直接にその意思表示の法律効果を取得する制度である。
代理人が必要とされる理由として、大きく二つに分けられる。
①私的自治の補充
単独で確定的な意思表示を行えない制限能力者の法律行為を補うため
②私的自治の拡張
代理人を使うことで、同時に異なった場所で法律行為を行い、その効果を自己に帰属させる。これによって、経済活動の範囲が広がることになる。
2.代理行為の要件とその効果について、民法は99条で以下のように規定している。
「代理人がその与えられた権限の範囲内で代理人として行った意思表示は、すべて本人に直接、法律効果が帰属する。」(1項)
「また、相手方が代理人に対して行った意思表示はすべて本人に効果が帰属するので、本人に直接、意思表示をした場合と同じ効果が生じることになる。」(2項)
代理人のなした代理行為の効果(債権的効果、物権的効果)はすべて、本人に直接帰属することになるし、代理行為に瑕疵原因があれば、心裡留保、虚偽表示、錯誤による無効も本人に帰属する。本人が契約の当事...