法律行為・意思表示が無効または取消しうべきものとなるのはどのような場合か。そのすべてを列挙し、それぞれにつき簡単に説明せよ。
(1)無効・取消とは
無効と取消は、結果的には法律行為の効力を否定する点において共通であるが、その過程において両者は異なる。無効は、法律行為の効力がはじめから存在しないのに対し、取消は、法律行為の効力を一旦は認め、後に取消の意思表示があれば、法律行為の成立の時に遡って効力を否定するものである。また、取消の方は、取消権者から取消の意思表示がなければならないが、無効の方は、誰からでも、また誰にでも主張できる。この差異から、無効の方が効力否定の力は強いといえる。
(2)無効
公序良俗に反する契約、強行法規に反する契約は無効であるが、それだけだなく、追認によって無効の契約を有効にできる余地も存在しない。これに対し、無権代理のように、無効ではあるが有効にしうる手段が残されているような場合は、無効は相対的な性格を持つことになる(116 条)。
(3)法律行為が内容上の有効要件を満たさない場合の無効
公益的理由に基づいて認められる無効であるため、原則として本来的・典型的な類型の無効に属するとされてきたものである。しかし、これらの無効の中でも、当該無効が契約一方の当事者の保護を目的とするものである場合には、保護される必要のある者のみが主張でき、また、保護に必要な範囲内でのみ無効が認められれば足り、かつ、場合によっては追認によって遡及的に有効化されうる余地もあるもの、と解せられる。
1
法律行為・意思表示が無効または取消しうべきものとなるのはどのような場合
か。そのすべてを列挙し、それぞれにつき簡単に説明せよ。
(1)無効・取消とは
無効と取消は、結果的には法律行為の効力を否定する点において共通である
が、その過程において両者は異なる。無効は、法律行為の効力がはじめから存
在しないのに対し、取消は、法律行為の効力を一旦は認め、後に取消の意思表
示があれば、法律行為の成立の時に遡って効力を否定するものである。また、
取消の方は、取消権者から取消の意思表示がなければならないが、無効の方は、
誰から
でも、また誰にでも主張できる。この差異から、無効の方が効力否定の
力は強いといえる。
(2)無効
公序良俗に反する契約、強行法規に反する契約は無効であるが、それだけだ
なく、追認によって無効の契約を有効にできる余地も存在しない。これに対し、
無権代理のように、無効ではあるが有効にしうる手段が残されているような場
合は、無効は相対的な性格を持つことになる(
116
条)。
(3)法律行為が内容上の有効要件を満たさない場合の無効
公益的理由に基づいて認められる無効であるため、原...