? 瑕疵ある行政行為についていわれる無効と取消の区別とはどのようなものか。
? 行政行為によって自己の権利を侵害されたとする市民はどのような救済制度(手続)でこれを争うことができるか。
? 行政庁に裁量が認められる行政行為について、裁判所の審査はどのように行われるか。
? 行政庁が行政行為を行うとき、行政手続法によってどのような手続が求められているか。
瑕疵ある行政行為も取り消されない限り有効と考えるのが原則であるが、重大な瑕疵のある行政行為についてまで同じように取り扱うことは、原告の権利利益を不当に制限し、行政権の優位性を過度に保護することになる。また、私人を救済する手段として取消訴訟のみを強制する意義は乏しい。明白な瑕疵のある行政行為については、取消訴訟の裁判所以外の裁判所がこれを審理判断することも困難ではない。よって、行政行為の瑕疵が重大かつ明白である場合にはじめて、当該行政行為は無効となると解する。そこで、「重大かつ明白」とは具体的には何かが問題となる。
重大な瑕疵とは、通常、行政行為の基幹的な内容にかかわる違法の意とされる。瑕疵の明白性については、法定の取消手続外で各人が行政行為の効果を無視し得るための要件であることを考慮してのことで、ここでの明白性は、当然に何人にとっても明白であるということでなければならない。したがって、瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、客観的に、誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決定すべきである。
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行政行為に関する次の各設問について説明しなさい。
①
瑕疵ある行政行為についていわれる無効と取消の区別とはどのようなものか。
②
行政行為によって自己の権利を侵害されたとする市民はどのような救済制度(手続)
でこれを争うことができるか。
③
行政庁に裁量が認められる行政行為について、裁判所の審査はどのように行われるか。
④
行政庁が行政行為を行うとき、行政手続法によってどのような手続が求められている
か。
①について
瑕疵ある行政行為も取り消されない限り有効と考えるのが原則であるが、重大な瑕疵の
ある行政行為についてまで同じように取り扱うことは、原告の権利利益を不当に制限し、
行政権の優位性を過度に保護することになる。また、私人を救済する手段として取消訴訟
のみを強制する意義は乏しい。明白な瑕疵のある行政行為については、取消訴訟の裁判所
以外の裁判所がこれを審理判断することも困難ではない。よって、行政行為の瑕疵が重大
かつ明白である場合にはじめて、当該行政行為は無効となると解する。
そこで、「重大かつ
明白」とは具体的には何かが問題となる。
重大な瑕疵とは、通常、行政行為の基幹的な...