事件の概要】
幼児(松本かよ子・事件当時2歳5ヶ月)の死亡原因を交通事故によるものとして起こされた損害賠償請求事件。目撃者が被害者の遊び友達である中村義弘(事件当時3歳4ヶ月)のみであったため、その証言の証拠能力と信憑性が裁判の焦点となった。
義弘の証言の内容は「一緒に遊んでいる最中に、かよ子がエビス屋の車に当たった」というものである。
原告側の主張は、「当時3歳4ヶ月の義弘は、自動車がかよ子とぶつかったという単純な事実については正確な認識を有する。つまり証言には証拠能力があり、採用するべきである。」というもので、対する被告側は「 3歳4ヶ月の義弘が、約10ヶ月前に(裁判は事件後約10ヶ月後に行われた)目の前で一瞬にして起きた出来事を正確に認識・保持し、供述するのは不可能。また暗示の可能性や証言自体の矛盾も多く見られる。つまり、義弘の証言は証拠能力を欠くものである。」と主張した。
義弘の供述・証言には次の三つがあり、それぞれに対して証拠能力と信憑性について調べられた。1.事故後約10ヶ月(4歳2ヶ月時点)での法廷での証言、2.事故後約3年3ヶ月(6歳7ヶ月時点)での刑事事件においてなされた証人尋問の調書、3.事故直後における供述を内容とする伝聞証言ないし書証である。義弘の証言能力に関しては認められたものの、その信憑性に関しては検討が必要である、とし次の3点について検討された。
? 義弘が事故当時のことをどの程度記憶していたか
? 事故後証言までの間及び証言の際に暗示を受けたことによる影響が無かったか
? 証言に認識力不足などによる虚言の混入が無いか
目撃証言の信用性
~エビス屋のブー事件~
目次
【事件の概要】
【事件の考察】
【参考文献】
【事件の概要】
幼児(松本かよ子・事件当時2歳5ヶ月)の死亡原因を交通事故によるものとして起こされた損害賠償請求事件。目撃者が被害者の遊び友達である中村義弘(事件当時3歳4ヶ月)のみであったため、その証言の証拠能力と信憑性が裁判の焦点となった。
義弘の証言の内容は「一緒に遊んでいる最中に、かよ子がエビス屋の車に当たった」というものである。
原告側の主張は、「当時3歳4ヶ月の義弘は、自動車がかよ子とぶつかったという単純な事実については正確な認識を有する。つまり証言には証拠能力があり、採用するべきである。」というもので、対する被告側は「 3歳4ヶ月の義弘が、約10ヶ月前に(裁判は事件後約10ヶ月後に行われた)目の前で一瞬にして起きた出来事を正確に認識・保持し、供述するのは不可能。また暗示の可能性や証言自体の矛盾も多く見られる。つまり、義弘の証言は証拠能力を欠くものである。」と主張した。
義弘の供述・証言には次の三つがあり、それぞれに対して証拠能力と信憑性について調べられた。1.事故後約10...