※参考資料にお使いください。
リカードに先駆けてアダム・スミスが、彼の書「国富論」の中ですでに外国貿易について書いてある。それは、「ひとつの商品だけについて、両国の単位あたり生産費を比較して絶対的に安い商品を輸出財とする」という考え方である。これは、絶対生産費説と呼ばれ、主として国内取引などで通用する原理を述べてものであるとされている。これに対して、リカードの比較生産費説での主張は「一国が絶対生産費では2財とも劣位であっても劣り方の少ない財の生産を分担し、優位である国は優位の差が大きい財の生産に特化すれば、両国の経済効果が高まる」という考え方である。国際間の取引では一方の国だけがすべての財の生産を分担し、他方の国は何も生産しない国が無尽蔵の金を保有するとか、無尽蔵に金を埋蔵している場合でない限り非現実的である。従って、2財とも劣位財しか生産できない国でもどちらかの財を生産し、それを輸出して外貨を入手し、輸入行為をする必要があるし、そうすることでそれぞれの国は利益を獲得できるのである。それゆえに、国際間の取引では国際貿易を相対的に見なければならない。これが相対的競争原理が作用する分野で、国際経済において重要な考え方で...