日本国憲法第25条の生存権の保障するために、社会福祉、社会保険、公的扶助、公衆衛生・医療の制度からなる社会保障制度が設けられている。この制度は国民の生活に大きく関わるものであり、そのうちの社会保険と公的扶助は現金給付を基本としている。そこで本稿では、両制度について説明し基本的相違を明らかにする。
社会保険
社会保険とは、保険給付により国民生活の保障を図る制度の総称であり、年金保険、医療保険、労働者災害補償保険、雇用保険、介護保険の制度のことを指す。
社会保険の目的は、病気やけが、障害、分娩、老齢、介護、死亡、失業などの困窮の原因となる保険事故が生じた場合に、国や地方公共団体など(保険者)が一定の金銭や医療の直接給付をして経済的保障を行い、国民(被保険者)の現実の生活レベルの保障を図ることである。この保険事故は生活上様々な困難をもたらし、支出の増大、収入の減少・中断・喪失などをもたらし、生計困難となる危険性がある。社会保険は、この保険事故に対して社会全体で対応し、多数の人が保険料を拠出して共通の準備財産を作り、そこから給付を行い、個人の経済的危機を分散・緩和させるためのものである...