古典日本語(古文、古代語)においては、助詞ガの用法に現代語と異なるものが多くあるのは知られていることである。たとえば、所有格としてのガは現代では「我が~」など特定のものに限られるが、古典日本語においては幅広く使われた。ノとの比較がしばしば問題になり、従来、ノは尊、ガは卑などといわれたが、『沙石集』をテクストとして調査することにより、必ずしもそうとはいえないことがわかる(下記の結果を参照)。また、主格としてのガには、実は広義の係り結びと関係があったこともわかるのである。今回は、ガの上接語に注目して、その実態を調べた。
『沙石集』における助詞ガの上接語
古典日本語(古文、古代語)においては、助詞ガの用法に現代語と異なるものが多くあるのは知られていることである。たとえば、所有格としてのガは現代では「我が~」など特定のものに限られるが、古典日本語においては幅広く使われた。ノとの比較がしばしば問題になり、従来、ノは尊、ガは卑などといわれたが、『沙石集』をテクストとして調査することにより、必ずしもそうとはいえないことがわかる(下記の結果を参照)。また、主格としてのガには、実は広義の係り結びと関係があったこともわかるのである。今回は、ガの上接語に注目して、その実態を調べた。
調査内容:『沙石集』におけるガの上接語
(構文タイプは上接語との関連性でのみ扱う)
範囲 :岩波書店『古典文学大系』p57~p131,p169~p225,p396~p462
理由 :高僧伝から庶民生活、滑稽話に至るまで記されており内容が多様性に富んでいる上、具体論・抽象論ともに充実しており、ガの上接語の調査に適しているといえる。また、会話文が比較的多く、「古文」に擬したものであっても当時の言語の基層の影響を一定程度受けている...