近代の哲学の傾向は「合理論」と「経験論」の2つにわけることができる。
「合理論」はフランス・オランダ等の大陸において発展し、デカルト、スピノザ、ドイツのライプニッツへと引き継がれる。17世紀の哲学は自然科学を絶対的に信頼し、数学的方法の中にある確実な推理を行う能力としての理性を重視した。18世紀になると非合理的なものは一層退けられ、理性的に認識されるものだけが意味を持つようになった。
「経験論」はイギリスのベーコン、ホッブスをはじめ、ロック、バークリー、ヒュームへと発展してゆく。これらは人間の認識の起源を経験に求めるという点で合理論と対立していた。
18世紀後半に登場するカントは相反する合理論と経験論の2つの立場を、それぞれの長所・短所を認めることにより総合し、批判哲学という新しい立場を樹立した。
カントにとって我々の認識は経験とともに始まるが、必ずそれらすべてが経験から始まるのではないと考え我々の認識能力のなかにある先天的形式を見つけ認識の確実性を保証しようと考えた。
その後、批判哲学の認識論を引き継ごうとする新カント派が生じ、形而上学に対する反省、認識そのものの...