2010年後期の日大通信メディア授業の英語史の授業内容です。扱った内容をまとめてあります。学習の参考になれば幸いです。
第1章 インド・ヨーロッパ祖語 母音交替
まず、これから4回、第1章から第4章までは、音の変化についてお話しましょう。過去にさまざまな音の変化がありましたが、この講座では、その中でも特に重要なもの、すなわち、現代英語にまでその影響が見られるものに限って取り上げたいと思います。現代英語とは直接関係がなくなってしまった音変化につきましては取り上げないことにします。なぜ、音が変化するのか。音の変化は一般的に、急激に変わるものではなく、少しずつ、徐々に進行していくものでして音の変化が完了するまで長い時間を要します。その原因は言語的理由、あるいは言語以外の理由が複雑に絡み合っているのでしょう、よくわからない場合が多いです。音変化を扱った書物では、Aと言う音がBという音になった、という結果についてはもちろん記述されていますが、そ
理由については書かれていないのが普通です。なぜ、変わったのかと質問を受けることがありますが、その答えは分かりません。日本語の場合でも、「アイ」が「エー」となる変化が江戸時代に起こりました。このエ列長音は江戸の町人階級に起こった変化です。それで今日でも東京の言葉では、...