家庭で養育出来ない児童を社会が親に代わり養育する社会的養護には、児童福祉施設にて児童を養育する施設養護と里親養育などの家庭的養護がある。里親制度は社会的養護の一つとして重要な役割を果たすが、施設養護に比べ普及が進んでいない。そこで本稿では、施設養護と比べながら里親制度の現状とあり方について論じる。
里親制度とは
里親とは、児童福祉法において『保護者のない児童又は保護者に監護されることが不適当であると認められる児童を養育することを希望するものであって、都道府県が適当と認めるもの』と規定されている。つまり、両親の死亡や虐待、養育拒否などの理由で、家庭で親による養育を受けることが困難・不適切であり、養護を必要とする児童を、施設養護では施設にて児童を養育するのに対し、里親に委託してその家庭に迎え入れ代替家庭による養護を行う制度が里親制度である。里親には、養育里親(家庭に恵まれない児童の養育を行い、一般的に里親とよばれる)、親族里親(3 親等内の親族がなる里親)、短期里親(1年以内の期間を定めて養育を行う里親)、 専門里親(2年以内の期間を定め、虐待などにより心身 に有害な影響を受けた児童...