大学レポート:訴因変更について
訴因変更について
現行法は、「公訴事実の同一性を害しない限度において」、検察官の請求により、また、職権による訴因変更制度を定めている。(刑訴法312条) ここでは「公訴事実の同一性を害しない限度において」とはどのような条件かが問題となる。 判例は、当初訴因と変更後訴因つまり当初訴因についての立証結果が互いに「密接な関係」にある場合には、両訴因に「基本的事実関係において同一」であるとみてよいとして、訴因変更を許している。(最判昭和24年1月25日刑集) また、当初訴因とその立証結果とがほぼ同一の証拠に基づく択一認定の関係、つまり、いずれか一方を認定すれば他方の認定はできないという論理上の関係にある場合には、「一方の犯罪が認められるときは他方の犯罪の成立を認め得ない関係にあるから」両訴因は基本的事実関係を同一すると判示した。(最判昭和29年5月14日刑集) つまり、両訴因の双方の基本的事実関係が同一であるとき、しかも具体的基準としては、両訴因が密接関係か択一関係にあるときに訴因の変更が許されるとするのである。そもそも、訴因の形式により公訴事実を起訴状に記載することを求めるのは、被...