外観法理を説明したうえ、この法理に基づく商法や会社法上の制度を2つ選び、述べなさい。
企業取引は、迅速にかつ安全になされねば、その発展を望むことはできず、商法は、①公示主義、②厳格責任主義、③外観主義の諸制度をもって取引の安全をはかっている。本レポートでは特に外観主義について述べる。
外観主義とは、真実に反する行為の外観を信頼して取引した者を保護しようとする考え方をいい、企業取引の迅速性の要求からも導かれたものである。この考え方に基づいて規定された商法の規定を2つ選び以下に述べる。
一つ目は、名板貸責任である。まず、名板貸の意義であるが、商号は営業の時間的蓄積や資本の投下により形成された企業やその商品に対する信用が化体され、集客力を有するようになる。これから営業を始めようとする企業にとって、このような商号を利用できるならば、既に確立された信用を利用できるところから極めて有利となる。このようなところから、信用貸与の方法として板貸(名義貸与)が行われることがある。ここに名板貸とは、自己商号を使用して営業をなすことを他人に許諾することをいい、この許諾契約を名板貸契約という。また名義を貸す者を名板貸人、名義を借りる者を名板借人という。
名板貸責任の意義は、名板貸人が自らの...