方法の錯誤と不作為犯

閲覧数2,000
ダウンロード数3
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    甲は、Aを殺害しようとしてピストルを発射したところ、Aをはずれ、側にいたBに当たり、重傷を負わせてしまった。Aが逃げ去った後、倒れた人を見て無関 係のBに重傷を負わせたことに驚いた甲は、すぐさま自分の車にBを乗せ、病院に向かったのだが、Bが意識を失っているのを幸い、このまま道路に置き去りに すれば自己の罪責を隠すことができると考え、Bを車道に引き摺り下ろし放置して逃走した。その際、甲は、ひょっとすると誰かが通りかかってBを救助してくれるのではないかと願いつつも、通りかからない場合は死んでもかまわないと考えていた。結局のところ、Bは発見が遅れ、死亡に至った。甲の罪責を論ぜよ。
    1、設問前段Bに対する罪責について
    甲はピストルを発射するという実行行為によってBに重傷を負わせている。そこで甲に殺人未遂罪(199、203)が成立しないか。甲はAを殺害する目的でピストルを発射していることからBの負傷について甲に故意責任を問いうるかが問題となる。
    この点、構成要件的に重要な事実において、表象した内容と発生した事実が具体的に一致していなければ故意は認められないとする考えがある(具体的符合説)
    しかし、この考えだと軽微な錯誤の範囲までをいちいち問題とするため、故意を認めることが狭くなり刑法の保護法益機能を没却する。
    思うに、故意責任の本質は、犯罪事実を表象し、反対動機が形成可能であるにもかかわらず、あえて犯罪行為に出た点に、行為者の反規範的人格態度が認められるところにある。そして、この犯罪事実を表象した際に直面する規範とは構成要件によって与えられる。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    甲は、Aを殺害しようとしてピストルを発射したところ、Aをはずれ、側にいたBに当たり、重傷を負わせてしまった。Aが逃げ去った後、倒れた人を見て無関 係のBに重傷を負わせたことに驚いた甲は、すぐさま自分の車にBを乗せ、病院に向かったのだが、Bが意識を失っているのを幸い、このまま道路に置き去りに すれば自己の罪責を隠すことができると考え、Bを車道に引き摺り下ろし放置して逃走した。その際、甲は、ひょっとすると誰かが通りかかってBを救助してくれるのではないかと願いつつも、通りかからない場合は死んでもかまわないと考えていた。結局のところ、Bは発見が遅れ、死亡に至った。甲の罪責を論ぜよ。
    設問前段Bに対する罪責について
    甲はピストルを発射するという実行行為によってBに重傷を負わせている。そこで甲に殺人未遂罪(199、203)が成立しないか。甲はAを殺害する目的でピストルを発射していることからBの負傷について甲に故意責任を問いうるかが問題となる。
    この点、構成要件的に重要な事実において、表象した内容と発生した事実が具体的に一致していなければ故意は認められないとする考えがある(具体的符合説)
    しかし、こ...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。