日本語学(国語学)で従来あまり論ぜられてこなかった判断文(繫辞を用いた所謂コピュラ文「~は~だ」)について、先行研究を踏まえつつ考えてゆきたい。
国語(日本語)の判断文(所謂コピュラ文)について
「甲ハ乙ダ(デアル)」という表現形式は一般に日本語のコピュラ文として扱
われ、コピュラ文の枞組みにおいて研究されることが多かった。
「甲ハ乙ダ」と
いう表現形式には大きく分けて次の二種類がある。
イ、 甲と乙が等価の関係にあるもの。
例)コノ大学ハ東大ダ。
ロ、 甲と乙が非等価な関係にあるもの。(乙の領域は甲より大きい。
故に甲=乙とはならない)。
例)彼女ハ歌手ダ。
歌手ハ歌ヲ歌ウ人デアル。
イとロは、等価・非等価という形で対立をなすものであり、有標・無標によっ
て分けたものである。また、乙に対し連体修飾がある場合、多くは次のような
傾向がある。
イに対する連体修飾は多くの場合、非限定的。
例)コノ大学ハ日本デ学術ノ最高水準ヲ誇ル東大デアル。
※この例では、最高水準の東大とそうでないその他大多数の東大を
想定して、最高水準の方といっているのではなく、目の前の東大
に対する描写として「日本デ学術ノ最高水準ヲ誇ル」という連体
修飾部が機能している。
ロに対する連体修飾は多くの場合、限定的である。
例)彼ハ優レタ医者ダ。
※医者にも色々ある...