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「心理学の歴史と現代社会への応用について述べよ」
心理学とは「心の働きを科学する」学問である。おそらく有史以前から、人間は心の働きに興味を持っており、ギリシア・ローマ時代のアリストテレス(BC.384-322)、ヒポクラテス(BC. 460-377)といった哲学者たちが、心についての著述を残している。中世暗黒時代の停滞を経たのち、ルネサンス期以降、デカルト(1596-1650)の心身二元論、ロック(1632-1704)の経験論哲学が提唱され、これらの思想は現代心理学誕生の母体となっている。
19世紀に入ると、電気生理学が発達し、ミューラー(1801-1858)やヘルムホルツ(1821-1894)の働きで視覚や聴覚の原理の解明が進んだ。また、ダーウィン(1809-1882)による生物進化論の登場によって、人間も動物の進化したものにすぎないとの見方が広まった。さらに、物理学者ウェーバー(1795-1878)、フェヒナー(1801-1887)は、感覚という主観的世界と刺激量との関係法則を探る研究を通して心を科学する研究に先鞭をつけ、彼らの研究は精神物理学と呼ばれた。このような研究の...