最近の風潮として、いつからか「日米安全保障条約」よりも「日米同盟」という言葉が政治家の口からも、メディアからも多用されるようになってきたと感じる。おそらくその口火を切ったのは小泉首相であるだろうが、これは彼の正直な認識から来たものであると考えられる。小泉首相がイラクへの自衛隊派遣の理由として、憲法前文を借用して派遣の大儀を謳ったが国民の多くがその真の理由をアメリカとの関係にあると見抜いていることだと思う。私個人の見解だが、近年小泉首相ほど正直にアメリカを同盟国であると宣言し、その重要性を唱えてきた総理大臣はいないと思う。確かに彼がここまで断言でき、それを国民が完全にはないにしてもある程度受け入れることが可能になったのは、9.11以降の世界秩序の劇的な変化と小泉首相の平壌訪問以後クローズアップされた北朝鮮の存在、イラク戦争がその理由であるだろう。9.11、そしてアフガニスタンへの報復攻撃後の、この3年ほどの期間の間に、国内では有事法案等の従来ではタブーであった法案が次々と可決され続けている。九条の解釈も幅が広くなり、現行の法の枠組みの中では困難な事案に対しては、その都度特措法というものをつくりアメリカの要求に対処してきた。このような動きに、国民の中には不安を抱く人々も多く、韓国、中国は北朝鮮問題を共に抱える関係国ではあるが日本に対しての警戒感は高まりつつある。年明け早々の、小泉首相の靖国神社参拝に対しても、迅速で厳しい対応をしてみせたことにも、その一端が垣間見えるようだ。確かに日本は外交の選択肢の中に、軍事的な選択肢を出現させる傾向にある。それを見てすぐに、戦前への復帰だと騒ぎ立てるような真似は私はしたくはない。ただ、そのように受け止める人が多いことも事実である。
“日米同盟についての考察”
はじめに
最近の風潮として、いつからか「日米安全保障条約」よりも「日米同盟」という言葉が政治家の口からも、メディアからも多用されるようになってきたと感じる。おそらくその口火を切ったのは小泉首相であるだろうが、これは彼の正直な認識から来たものであると考えられる。小泉首相がイラクへの自衛隊派遣の理由として、憲法前文を借用して派遣の大儀を謳ったが国民の多くがその真の理由をアメリカとの関係にあると見抜いていることだと思う。私個人の見解だが、近年小泉首相ほど正直にアメリカを同盟国であると宣言し、その重要性を唱えてきた総理大臣はいないと思う。確かに彼がここまで断言でき、それを国民が完全にはないにしてもある程度受け入れることが可能になったのは、9.11以降の世界秩序の劇的な変化と小泉首相の平壌訪問以後クローズアップされた北朝鮮の存在、イラク戦争がその理由であるだろう。9.11、そしてアフガニスタンへの報復攻撃後の、この3年ほどの期間の間に、国内では有事法案等の従来ではタブーであった法案が次々と可決され続けている。九条の解釈も幅が広くなり、現行の法の枠組みの中では困難な事案...