〝Macbeth〟における魔女 卒業研究中途報告
なぜ魔女たちはマクベスを誘惑したのかという疑問について橋本侃は『謎解きシェイクスピア』の中で「魔女の存在を信じる当時の人の考えによると、悪魔とその手先の魔女は人間の心に潜む悪を刺激する。また、誘惑はするが予言はできないことになっていた。悪魔は心に隙がある者だけをそそのかす。その悪魔も、当時のことわざにある通り、ときには真実をいう。だから、人間は惑わされる」と述べている。確かに武勲を立ててBanquoと帰還する途中でマクベスは魔女と出会い、「万歳マクベス!万歳グラ―ムスの領主殿!……コーダの領主殿!……将来、国王たるべき人!」(I.iii)と、マクベスが将来コーダの領主、国王になるという言葉を与えられた。初めは半信半疑だったマクベスがこの言葉を信じるようになったのは、直後に伝令により武勲を立てた報奨とおして王がマクベスを領主にする意向であることを知った時からだった。魔女の言葉通りコーダの領主になったマクベスは、もう一つの、国王になるということばも信じてしまったのである。橋本は魔女について次のように解説している。「魔女は悪...