旧司法試験の答案です。答案作成上気になる点についてコメントをつけてあります。
平成18年度第2問
設問1
Cは、本件建物について、所有権に基づく返還請求としての建物明渡請求をすると考えられる。これに対し、Aは、Bと締結した賃貸借契約(601条)に基づき本件建物を占有しているとして、占有権限の抗弁を主張すると考えられる。この主張は認められるか。
Aは、BCが夫婦であることから、本件賃貸借契約は「日常の家事」に関する行為(761条)にあたり、Cは本件賃貸借契約により生じた債務を負うと主張することが考えられる。
しかし、「日常の家事」とは 、夫婦の共同生活に通常必要な行為をいい、行為の客観的態様や性質等を考慮して客観的に判断するところ、建物の賃貸借は、その性質上、夫婦の共同生活に通常必要な行為とはいえない。
したがって、Aは、本件賃貸借契約が「日常の家事」に関する行為であるとして、Cの請求を拒むことはできない。
次に、Aは、Bの本件賃貸借契約締結について、権限外の行為の表見代理 が成立し、本件賃貸借契約の効力がCに及ぶことにより、Cの請求を拒むことができると主張することが考えられる(110条)。
まず、Aは、BがCから付与された抵当権設定についての代理権を基...