(2010年配本)
1,テキスト内の「チゼック教授の美術指導と質疑応答」(第11章)を読み、えられた知見と感想を述べよ。
2,評価の問題点について考察せよ。
(1) 1942年に出版された「児童美術」は、チゼック教授の友人であるウィルヘルム・ヴィオラ博士が、チゼック教授が美術指導に関する講演を行ったときに受けた質問事項を整理したものである。チゼックは日本の創美活動にも影響を与えたことで知られる。
この質問事項からチゼックは子どもの無垢で純粋な状況で作品が生みだされることに大きな意義を見出していると感じた。なぜかと言えば、子どもが生まれながらにもっている色彩感覚は素晴らしいからである。大人にはない斬新なものの見え方をしているのである。成長するにつれ、様々な芸術に触れたり、大人の発言をうけたりことでその感覚は薄れてしまう。そういった情報がまったく入らない子どもの作品には自由な発想が見られる。年少期には、上手に似せて描くことをさせるのではなく、お話を聞かせ、想像を膨らませて絵を描かせることがよい。子どもたちが誰でもない自分の絵を描くことが理想である。そして大人が持っている自分の標準を押し付けてはいけない。また、幼い子どもであればあるほど、大人の影響を受けていない。美術教育は早ければ早いほどがいいとチゼックが言ったのはここにその理由がある。
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